北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野
山口 博之
此度第13回日本臨床検査学教育学会学術集会を北海道大学(学術交流会館)にて開催することになりました。北海道での開催は初めてとなりますが、担当校である北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻と日本臨床検査学教育協議会東北・北海道支部の幹事校とが力を合わせ、臨床検査技師教育について踏み込んで深く考えるための良い機会とすべく鋭意準備を進める所存です。
テーマは、「多様性の創成: 進化する臨床検査学教育」。健康と医療に関する包括的な知識と技能を横断的に身につけた学生の進路は、極めて多岐に渡ります。病院のみならず製薬や食品系さらにそれ以外の一般企業も、就職先のターゲットです。就職先の多様化からは、検査技術科学の学びが学生の視野を着実に広げているということと、受け入れる側の期待の大きさを計り知ることができます。このような実情を踏まえ、置かれた場に適応しその職種の中核を成していくための人材をいかに育んでいくのか、多角的な視点から議論する機会を設ける必要性を痛感しているからこそ、このようなテーマといたしました。
いうまでもなく全ての臨床検査技師教育施設は、一つの国家資格の取得を目指しますが、教育の場は、専門学校、短大、4年生大学、と多様です。その一方で、少子化問題が教育機関の生存競争を益々激しくし、教育機関そのものが本来肝に据えるべく教育の真髄を見失いそうな、嫌な雰囲気を感じることが、錯覚であることを祈るばかりです。さまざまな状況や立場を十分に理解することは必要ですが、今一度、臨床検査技師の教育機関が、それぞれの立場を超越し連携・協力することで生まれる次世代を見据えたより実り多い教育のあり方について、考えてみても良いのではと思います。そこで臨床検査技師育成における高等教育のあり方そのものについて、今一度立ち止まって考えられるような、そんな場をぜひ提供できればと思っています。
もちろん今までの学術集会と同様に本学術集会は、多くの大学院生、学部生、専門学校あるいは短大生が集い、それぞれの研究成果を発表し切磋琢磨するための場を提供いたします。教育についてまた学びについて、教員・学生を問わず参加者が、時間を忘れて考えまた討議できるような、そんな熱い学会を目指したいと思っています。不慣れなため手作り感一杯の学会となり、参加される皆様には何かとご不便をおかけするかと思います。特に事前にお伝えしておきたいのは、札幌は昨今海外からの観光客が多く、夏のハイシーズには宿泊の予約が大変難しくなります。大変恐縮ではございますが、お早めに宿泊のご予約をされることをお勧めいたします。
担当校一同は東北・北海道支部幹事校と綿密に連携し、皆様をお迎えする準備を進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(臨床検査学教育 Vol. 10, No.1, 2018より)